「公共Wi-Fiは便利だけど、セキュリティが心配」
そう思いながら使っている方も多いかもしれません。
私もその一人でした。
ある日、ITセキュリティ分野の講演会に参加し、そこで実際の通信が“見える”という体験をしました。
今回はその内容をもとに、なぜ公共Wi-Fiが危険とされているのか、
そしてVPNがどのように通信を守っているのかを、少し専門的にご紹介します。
講演会での実演|「これが皆さんのIDです」と言われて
講演の冒頭、スクリーンにいくつもの文字列が表示されました。
「これは、今この会場でWi-Fiに接続している方々の通信から取得した端末識別情報です」との説明。
参加者の驚いた表情をよそに、
講演者は“パケットキャプチャ”という技術を使い、
公開されている通信の一部を収集・表示していたのです。
※個人が特定されるようなデータではなく、デモ用に十分配慮されたものでした。
技術解説|なぜ通信が「見えて」しまうのか?
公共Wi-Fiで起こりうる情報漏洩の要因は、主に次の3つです:
- 暗号化されていない通信(HTTP)がそのまま送受信される
- 同一ネットワーク内の通信が可視化される(ARPスプーフィングなど)
- 攻撃者が中間者(MITM)となって通信を盗み見る
これらを可能にするのがパケットスニッフィング(Packet Sniffing)です。
Wi-Fi経由でやり取りされているパケット(通信単位)をキャプチャすることで、
ログイン中のセッションIDやCookie、アクセス中のサイトのURLなどが覗けてしまうのです。
VPNの役割|暗号化された“安全なトンネル”を作る
VPN(Virtual Private Network)は、こうした盗聴や覗き見から通信を守る仕組みです。
技術的には、次のような動作を行います:
- 💡 端末とVPNサーバー間の通信をすべて暗号化(トンネリング)
- 🌍 VPNサーバー経由でWebサイトなどに接続(本来のIPアドレスは外部に見えない)
- 🔐 盗聴されても“中身がわからない”通信に変換
これにより、たとえパケットを傍受されても、
何の情報なのか読み取ることは不可能になります。
つまりVPNは、公共Wi-Fiでもプライベートネットワークのように安全に通信できる手段なのです。
「意識して選ぶ」セキュリティの選択肢
公共Wi-Fiを使ってはいけないわけではありません。
大切なのは、「どんなときにリスクがあるか」を知った上で、自分なりに対策を選べることだと思います。
今回の講演会を通して、私はVPNを“安心の仕組み”として活用するようになりました。
VPNは万能ではありませんが、
少なくとも自分の通信を意識的に守る一歩になると感じています。
まとめ|便利さと安心のバランスを、自分で選べる時代に
公共Wi-Fiはとても便利で、生活の一部になっています。
その一方で、便利さの裏にある仕組みを少し知っておくと、
「安心して使うための工夫」も見えてきます。
VPNはそのひとつ。
情報を大げさに怖がるのではなく、選択肢として知っておくことで、
自分や大切な人をそっと守ることにつながるかもしれません。